ココロに効く本棚
ファクトチェック
From:池田慎哉
立岩陽一郎/著(講談社 1,430円)
~内容紹介(出版社HPより一部抜粋)~
この本でお伝えするのは、ニュースや新聞、
あるいはネットから流れてきた情報が、
はたして正しいのか、
間違っているのかを見極めようとする技術であり、態度です。
情報の真偽を確かめる「ファクトチェック」を身につけることは、
コロナと共生する社会を生きるうえで必須となります。
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忘れもしない小学校の廊下での記憶。
友人のナガシマ君がこそっと教えてくれました。
「もうすぐ地球は滅亡して、人間は全員死んでしまうんだよ」。
9歳の私はこの世の終わりを覚悟し、
不安におののいたのを強烈に覚えています。
後になって分かったことですが、
これはチェルノブイリ原発事故のニュースを受けてのことでした。
友人は信じて疑わなかったのでしょう。
もちろん私自身も。
現代でも同じことが起きています。
インターネットでの情報拡散のスピードが増した近年、
さまざまな社会問題が報じられると同時に
真偽不明の情報も目にする時代になりました。
意図的に誤った情報を流すことさえある時代だからこそ
メディアリテラシーの必要性が叫ばれています。
そこで重要になるのがファクトチェック。
まずは事実かどうかを冷静に判断する姿勢が必要です。
身近なところで言えば入試情報や
各中学校の出来事についての憶測や噂話が、
まるで事実であるかのように私のところにまで流れてきます。
本書はコロナ禍に絞った内容ですが、
日常生活にも必要な知恵が詰まっています。
正しく理解して、正しい対応を実践する一助となる一冊です。
(池田)
おとなになるのび太たちへ
From:池田慎哉
藤子・F・不二雄/イラスト(小学館 1,540円)
~内容紹介(出版社HPより)~
誕生から50年がすぎた現在でも、
読み継がれているドラえもんのコミックス。
本書は思春期の子どもたちにむけて、
人生の指針となる10話を
それぞれの職業で日本を代表する10名に選んでいただきました。
自分は何になりたいのか、どう生きたいのか、
迷っている子どもたち(もちろんおとなたちにも)の道標となる
1冊です。
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学習相談を通して
ご家庭でのお子さんへの接し方が垣間見えます。
厳しいスタンスの親御さん、
不安ばかりが募ってしまう親御さん、
父と母で役割分担がハッキリしている場合もあれば、
両親ともに全てを肯定してあげる場合など十人十色。
もちろん子ども達の性格や個性もそれぞれです。
だからこそ、わが子にどんな大人になってほしいかという願いも
ご家庭によっていろいろですよね。
ただ「優しい人になってほしい」
「誰かの役に立つ人になってほしい」など、
共通する部分もあるのではないかと思います。
今回ご紹介する『おとなになるのび太たちへ』です。
幅広いジャンルの著名人10名が、
数多いドラえもん作品からお気に入りの一編を選んで、
エッセイも執筆しています。
特に梶裕貴さん(声優)と辻村深月さん(作家)の選んだ一編は、
私自身が我が子に強く伝えたいことでした。
自立心を持つこと、そして優越感や劣等感を持たずに
前向きに物事を捉えること。
早速、掲載されている漫画を一緒に読もうと思います。
本書のラストには大人に向けたおまけの一編も。
読後は上映中の「STAND BY MEドラえもん2」も
観たくなってしまいました。
(池田)
こどもSDGs なぜSDGsが必要なのかがわかる本
From:池田慎哉
秋山宏次郎/監修 バウンド/著(株式会社カンゼン 1,430円)
~内容紹介(出版社HPより)~
SDGs(エスディージーズ)とは、
国連が定めた「2030年までに達成を目指す世界の目標」です。
世界には貧困や人種差別、環境問題などさまざまな課題があります。
これらに加えて食品ロスや男女格差、
働き方改革などもSDGsのテーマです。
これからの地球をより良く発展させるために
必要な課題が丸ごと入っているといえます。
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グローバル社会では、あらゆることが世界中に連鎖しています。
ハロウィンでもらうお菓子のチョコは、
アフリカの8歳の子どもが学校にも行けずに児童労働により
収穫しているのかもしれません。
この現実を考えれば、
私たちはどのような選択をすべきかと考えさせられます。
社会科の勉強や受験対策としても本書はオススメですが、
なによりグローバル社会の子ども達が学ぶべき世界の
リアルな姿が描かれています。
持続した発展を目指すための行動も提案されており、
未来を変えるのはまさに教育なのだとも再認識させられました。
同様の本は数多く出版されていますから、
ぜひ本屋さんで選んでみて下さい。
本書は1ページのコラム形式で振り仮名がふってあり読みやすい一冊。
イラストや言葉の解説もSDGsの入り口としてピッタリです。
(池田)
『友だちってなんだろう?』
From:池田慎哉
斎藤孝/著(誠文堂新光社 1,430円)
~内容紹介(出版社HPより)~
一生使える無敵の「人間関係術」を齋藤孝先生が伝授!(中略)
だれとでも友だちであろうとしなくていい。
楽しくて、笑顔になれる「気の合う人」とだけ、
友だちになればいい。
ただし、「気の合わない人」とも、
いがみ合わず、傷つけあわずに共存していけるよう、
人づきあいのスキルをみがこう。
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悩みのなかでも特に多いのが人間関係について。
コロナ禍では人と人との接触が減って
人間関係の悩みが軽減されたなんて話も聞きます。
それだけストレスを感じていたのでしょう。
一方で人との関わりの価値に改めて気がつくこともできました。
外出できない時期に友人やクラスメイトを
PCの画面越しに見たときのホッとした気持ち。
誰かとつながっている安心感。
人と人との関係は、悩みにもなるけど支えにも喜びにもなるもの。
大切なことなのに改めて授業で習ったり
誰かに教えてもらったりはしませよね。
ぜひ、齋藤先生に習ってみて下さい。
友達との関わり方、ひとりになる勇気、否定グセはやめるなど
実践したくなる具体的な方法を教えてくれます。
「本音は破壊力のある危険な言葉」という話にはハッとしました。
気持ち良く人と付き合うことを考えたら
本音を言うことが正解とは限りません。
「声はその人のエネルギーを表す」にも納得。
小さな声でボソボソと話す子は恥ずかしがり屋なんですよね。
大声ではなくていいのでハッキリ伝える。
たったこれだけでも良い印象を与えますよ。
本書には私自身も我が子に伝えたいと思う
人間関係の知恵がたくさん書かれていました。
(池田)
【本棚】あなたの不安を解消する方法がここに書いてあります。
From:池田慎哉
吉田 尚記 著(河出書房新社 1,540円)
~内容紹介(出版社HPより)~
「日本一絡みづらい」とまで言われながらも
年間150本以上のイベントを仕切る
“日本一忙しいラジオアナ”に。
そんな著者によるコミュニケーションの「不安」を感じる
皆さんに贈る1冊。
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「生きてるだけで丸もうけ」
という言葉から名付けられたのが芸能人のIMALUさん。
父親はおしゃべりの天才、明石家さんまさん。
名前の由来を聞いたときに
なんて素晴らしい名前だと感動したことを覚えています。
本書は14歳に向けたシリーズの一冊で不安や
コミュニケーションがテーマ。
つまり思春期ど真ん中の中学生に読んでほしい内容ですが、
子どもと向き合う大人が読んでもいいかもしれません。
不安を抱える子ども達に寄りそうのって簡単ではないです。
でも著者の吉田さんはすごく気楽な気分で話を進めてくれる。
悩みを解消するための方法が具体的に書いてあります。
この本の根底にあるのが、
まさに「生きているだけでいいんだ」という考え。
人と比べるのではなく自分が楽しいと思えるかどうかです。
さらに勉強にも応用できるところがお薦め理由でもあります。
受験生なんて不安を感じて当たり前。
不安が大きくて勉強から気持ちが離れてしまう時がよくあります。
勉強することでしか前に進めないよと話すのだけど、
この本を読んでくれた方がより伝わります。
「不安はただ止まっているだけで何もプラスにならない。
決断と行動だけが人を成長させる」という本書の言葉も素敵です。
(池田)
小学生なら知っておきたい教養366
From:池田慎哉
ファラデー/原作、平野累次/文 (角川つばさ文庫 748円)
~内容紹介(出版社HPより)~
思考力、理解力、語彙力が育ち、グングン頭がよくなる!
齋藤孝先生による小学生のための教養本が誕生しました。
1日1ページ、毎日読むことで、知性の筋力を鍛えます。
小学生のうちに知っておきたい7ジャンルから、
「言葉遊び」「日本文学神7」「世界のすごい画家」など
テーマを厳選しました。
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説明文が解きにくい理由の一つに筆者の文章力があります。
これが読解の難しさに影響することがあるんです。
研究者や専門家が書き手だった場合、
文章が上手とは限りません。
大人であれば要旨をつかめても、
子どもの読解力では難しいことが多々あります。
そんな読みづらい文章の理解度を上げてくれるものが2つあります。
語彙(ごい)力と周辺知識です。
言葉の知識と主題に関する知識は読み手を助けてくれます。
知識があるテーマなら読み手の理解力も上がります。
ということで今回は周辺知識と語彙力を高める一冊をご紹介します。
本屋さんで「これはいい!」と手に取りました。
著者は国語指導でも有名な齋藤孝さんですから
ツボを押さえた出来栄えになっています。
似たような本はよく見かけますが、
小学生向けでここまで読みやすく
興味を惹かれる内容が詰まっているものはありません。
もちろん小学生が読めるように
すべての漢字にふりがながふってあります。
言葉、文学、世界、歴史、自然科学、、、
周辺知識だけでなく語彙力も身に付きます。
斎藤先生の本にハズレはないですね。
国語を伸ばすには論理を読み解く力も必要ですが、
それは私にお任せ下さい。
(池田)
ロウソクの科学
From:池田慎哉
ファラデー/原作、平野累次/文 (角川つばさ文庫 748円)
~内容紹介(出版社HPより)~
「燃えたロウソクは、どこへ消えたの?」
「水と氷って、どっちが重いの?」
「さかさまにしたコップの水が落ちないのは、どうして?」
1本のロウソクを使ったたのしい実験で、
身のまわりのふしぎを学ぼう!
科学者のファラデーが子どもたちに見せた
24の実験をイラストと物語でやさしく教えるよ!
読めばだれでも理科がわかる・科学を好きになる!
たのしくておもしろい、理科実験の入門書!
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発明ってワクワクしますよね。
私も小学生の頃に世紀の大発見をしたことがあります。
なんと歩いてアメリカ大陸へ行く方法を見つけたのです!
しかし小学生だったので
水圧の知識と肺活量に限界があることを知りませんでした。
中学生になり、
科学には知識の積み重ねと探究心が大切であると
一冊の本から学びました。
それが本書『ロウソクの科学』。
ノーベル化学賞を受賞した吉野彰先生が
科学の道へ進むきっかけにもなったそうです。
化学、物理学の分野で偉大な功績を残したファラデー。
彼は一流科学者による
さまざまな実験を見せるイベントに出演したさい、
たった一本のロウソクで6回のショーを行い、
多くの現象や原理を説明したのです。
どれほど多くの子ども達が不思議な世界に興味を持ったことでしょう。
吉野先生もファラデーに大きな影響を受けた一人です。
彼は学生時代に考古学研究会に所属して発掘に参加したり、
地球環境問題の解決へ支援したりと、
研究者の枠に収まらない魅力あふれる先生です。
本書は子ども向けに読みやすくした
ストーリー仕立てになっていますが、
少年時代の吉野先生と同じ感動を味わえると思います。
ちなみに冒頭に挙げた池田少年の大失敗は、
図解しながら説明するといつも大ウケです。
(池田)
こんなときどうする!?かいけつブック
From:池田慎哉
辰巳 渚 /著、朝倉 世界一/イラスト(毎日新聞出版 1,320円)
~内容紹介(出版社HPより)~
忘れ物がなくならない!
家族とケンカした!
夏休みの宿題が終わらない、
大人の期待がちょっぴり重い......。
子どもたちが、日常でぶつかる「もやもや」やピンチの場面。
そんなとき、どう考えるの?
大切なのは、子どもたちが自分の頭と心で考えること。
この本では、さまざまな課題を子どもたちが
三択→解説→辰巳さんの答えと
読み進められるしかけになっています。
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塾は子ども達の学力を伸ばす場所。
陽光学院が学習相談にも力を入れているのは、
授業外の勉強も学力を伸ばすために重要だからです。
ご家庭でのお悩みは
「勉強のやり方」や「ルール作り」で解決することがあります。
勉強に関することは専門分野ですから何でもご相談下さい。
意外に多いご相談が勉強以前のことで、
習い事との両立や友人関係などの悩みなど。
学習環境やモチベーションは
子ども達の学力にダイレクトに影響するので軽視できません。
今までの指導経験から対処法などをお伝えしています。
生徒との面談の場合は、
まずは気持ちを受け止めた後に
実行しやすいアドバイスを送っています。
ご家庭や友人関係など身の回りのことが上手くいけば
勉強にも良い影響を与えます。
反抗期を迎えた小学生から思春期の中学生まで、
気持ち次第で勉強の取り組み方が変わるんですよね。
ちょっとした気がかりも解決しておきましょう。
そのさい、まず自分で解決してみようと思った時は
本書がオススメです。
対処法の3択クイズやイラストが多く使われていて
読み易いのも◎。
お子さんに注意してもなかなか伝わらないと悩む
保護者さまもぜひご一読を。
伝え方のバリエーションが豊富で参考になります。
(池田)
【中学入試対応】ツッコミ!理科
From:池田慎哉
高濱正伸 監修 江上修 著(永岡書店 1,620円)
~内容紹介(出版社HPより)~
問題のどこかがボケていて
間違いのある「ボケ問」に対して、
正しいツッコミを入れながら読み進める、
新しい形の問題集です。
マンガを読む→ボケ問を考える→
解説で理解を深める→類似問題(中学入試過去問題)で
定着度をアップ!
■1章 生物、2章 物理、3章 化学、4章 地学
※人気校、難関校の過去問題を多数掲載。
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高校になると文系/理系の選択を迫られます。
理系の人気が高いのは、
親の希望が反映されているのかもしれません。
理系は就職に有利とか、
将来性もあると聞くと気持ちが理系に傾くのでしょう。
だからと言って、無理に理系を勧めても上手くはいきません。
本人が興味を持ってこそ努力できます。
ポイントは
「いかに子どもを理科好きにしたうえで、
勉強としての理科にも興味をもたせるか」です。
学校や塾でも理科の授業は好きだけど、
問題を解くのは嫌いという子は少なくありません。
本書を読むと、理科の問題はさまざまな興味深い現象がもとになって
作られていることが分かります。
たとえば、麻布中学の入試で出題された「ブランコ問題」。
ブランコの振れ幅を大きくするためには
立ったりしゃがんだりを繰り返せばいいというのは
多くの子が体験を通して知っています。
では、どのタイミングで立って、
どのタイミングでしゃがめば振れ幅を大きくできるのか。
本書ではブランコを振り子運動にあてはめて解説しています。
今までの体験が理科の問題になっていて、
そこに納得できる解説がなされる。
生物、物理、化学、地学、、、
さまざまなテーマを取り上げることで
「理科が好き」から一歩進んだ
「理科は面白い!」につなげてくれる一冊です。
(池田)
ビジュアル図鑑:スーパークールテック 世界のすごい技術
From:池田慎哉
DK社 著 大津祥子・上林香織・神原里枝 訳(すばる舎 5,184円)
~内容紹介(出版社HPより)~
1冊まるまる世界最先端のテクノロジーを紹介する図鑑。
ふりがなつきで小学生からOK。
身近なゲーム機から最先端のロケットまで、
見やすいレイアウトと豊富な図版で「しくみ」を説明。
STEAM教育はじめの一歩にもオススメです。
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夏休みと言えば自由研究。
最近は取り組みやすい観察や調査をする子が多いようです。
手の込んだ実験や作品制作は少ないのかも。
近頃はSTEAM教育など理系が重視されていますが
勉強として取り組むだけでなく、
日頃から身近に科学技術やモノ造りが感じられれば
興味を持つ子が増えるでしょう。
夏休みは科学館などで実験教室もありますが、
身近な書物や映像も興味をもつきっかけになります。
私自身も中学生の時に
オーストラリアの先住民族アボリジニの写真集を図書館で見つけて、
彼らのブーメランを作ったのを覚えています。
美しいブーメランの写真に関心を持ったのがきっかけです。
子ども達にも興味を持てる一冊に巡り会ってほしいと思っています。
本書は最先端の科学技術を紹介するビジュアルブック。
写真と文章で世界の最先端技術を紹介しています。
ドバイにある近未来デザインの人工島から
脳で制御する義肢まで幅広く約80項目。
小学校低学年でも楽しめます。
価格はちょっと高めですが、
ワクワクする内容で仕立てもこだわりのある一冊。
科学技術に対する憧れや視野が広がります。
(池田)